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幼少期の体験からの影響について

​​幼少期は顕在意識と潜在意識は未分化の状態です。人間はまずその人格の核となる部分を3歳くらいまでに作りあげます。
それを基にして雪だるま式に心が成長し、それと共に顕在意識と潜在意識が徐々に分かれていきます。そして12-13歳の頃、丁度中学に上がる頃には明確に二分されます。
潜在意識にはしっかりと蓋がされ、それ以降はよほど辛い体験や感動的なことが無い限り、その内容が変わることはありません。すなわち自分のアイデンティティ(自己同一性)が確立された状態になります。

マイナス要素の生成過程について

潜在意識には、プラスの要素、プラスマイナスの要素、マイナスの要素が存在します。
このうち、我々の日常生活に悪影響を与えるマイナス要素は、どのように作られていくのでしょうか?
 
よく「三つ子の魂百まで」と言われます。幼い頃に形成された性格は一生変わらない、という意味です。
 
それでは三歳くらいまでの幼児に最も大きな影響を与えるのは誰でしょうか?
 
そうです。両親です。特にお母さんです。親が早くに亡くなっている場合には、祖父母等代わりに育児に関わった方になります。最近では早くから保育園に預ける方も多いですが、その場合は保育士さんからの影響も無視できません。
子供にとって親はとても大きな存在です。いわば”神”のような存在です。子供はその親を無条件で愛します。そして愛する親から無条件で平等な愛を欲しがります。親から与えられるものは全て愛ゆえのものだと思ってしまいます。
勿論の事ながら、親は神様でも仏様でもありません。過ちを犯す、時には感情的になって理不尽な言動をしてしまうごく普通の人間です。1年365日いつもニコニコしていられる訳ではありません。
例えば、親が子供を虐待したとしましょう。子供は親から受けたことは、たとえそれが暴力であったとしても愛ゆえの行為だと思ってしまいます。愛する親からの行為は全て肯定的に受け止めてしまうのです。例え殴られても自分は愛されているが故に殴られているんだ、と思ってしまいます。
いえ、そう思わないと親にすら愛されない自分は、まして他人になど愛される訳がないという、恐ろしい事実を受け入れないといけなくなってしまいます。
また、子供は親に嫌われたら、見捨てられたら、自分一人ではとても生きていけないことを自覚しています。
親に気に入られようと、どんなことがあっても親の事は好きでいようとします。親の気を引こうと努力します。親の側に非があったとしても、決して親の事を悪くは言いません。むしろ、自分の方が悪かったと思ってしまいます。所謂ストックホルム症候群のような状態に陥ります。 
 
子供の頃に父親が暴力的だったという女性が大人になると、非常に高い確率でDV男と付き合うようになります。DV男も意外と最初のうちはとても優しいのですが、そのうち本性を現し暴力を振るうようになります。
 
ドロドロになった末やっとの思いで別れることが出来て、「次は絶対に優しい人を・・」と思うのですが、結局やはり同じようなDV男と付き合ってしまうことが多々あります。もちろん決して運が悪い訳ではありません。
 
つい手が出てしまうような、心が弱くて、一見優しくて、支配的な男性を無意識のうちに選んでいるのです。
 
そう、お父さんによく似た人を・・。
​上記のように子供を虐待するような親のことを”毒親”と言いますが、このような酷い親でなくても、ごく普通の親からもマイナス要素が潜在意識に刷り込まれることがあります。勿論大きさは異なりますが・・。
​少々類型的になってしまいますが、以下にそうなり得る例ををいくつか挙げていきましょう。
お母さんの機嫌があまりよくないとき、​夫婦喧嘩をしたとか、職場でいやな目に会ったとか、お姑さんにいびられたとか色々とあるかと思いますが、そんな時に、すぐにお出かけしなきゃいけないのに子供が食事をさっさと食べてくれない、お着換えをすぐにしてくれないとしたらどうでしょう。
普段はどんなに優しいお母さんでも、思わず鬼の形相で子供に
「何してんの!あんたはホントにグズね!さっさとしなさい!!」
などと言ってしまうのではないでしょうか。
勿論お母さんにも斟酌の余地はあるのですが、残念ながら子供はお母さんの置かれた状況、感情まで考えられるほど賢くはありません。
そんなことが繰り返されていると柔らかい子供の心に
 
「そうか、自分はグズなんだ・・」
 
という意識が刷り込まれてしまいます。
このような本人に対する直接的でネガティブな言葉でなくても、
 
「お兄ちゃんはホントに優秀ね。あなたも見倣いなさい。」
 
のように、優秀な兄弟姉妹と比較された場合も心の中に大きな傷として残ります。
勿論、親は決して悪気があって言っている訳ではありません。むしろ親本人は、子供のやる気を引き出そうと思って、子供の事を思えばこそ、よく出来た兄弟姉妹のことを”お手本”として引き合いに出しているだけです。
でも残念ながら子供の側は、親のそんな深い想いを理解することは出来ません。家庭の中での”神”たる親に判断され、劣等感を抱き、惨めな思いをするだけです。
​​自己評価の低い人の中には、幼少期に親からネガティブな言葉を度々掛けられていた、あるいは優秀な兄弟姉妹と比較されて育って来た、という方が少なくありません。
こういう例もあります。子供がおうちでお絵かきや楽器の演奏をしていて、それを見た(聴いた)お母さんが、「まあ上手ね!」なんて褒めてあげたとします。
子供は嬉しくて毎日一生懸命に絵を描きます(演奏します)。お母さんに「見て見て!」なんて出来上がった作品を見せにいったりします。お母さんに喜んで貰いたくて、認めて貰いたくて一所懸命に絵を描きます。
ところがある日、子供がいつものように作品を見せにいった時に、たまたまお母さんの虫の居所が悪くて、
「何、この絵は? 全然ダメじゃない!
      それにこんな天気のいい日は外に行って遊んでらっしゃい!!」
なんて怖い顔で言われたりしたら・・。
勿論お母さんはたまたま色んな事が重なってつい心にもないことを言ってしまっただけです。あとで反省して子供に「ごめんね」と謝ることもあるでしょう。
でもやはり子供心にはショックです。こんな事が重なると子供はそのうち自分のしたいことをするのではなく、親の顔色を窺って行動するようになります。大人になっても人の顔色を窺ってばかりで自主的に行動出来ない人間になってしまいます。
逆に親に褒められ続けた結果、それが大きなモチベーションになってプロの絵描きやミュージシャンになる人もいます。
他にこんな例も。
お父さんが週末に遊園地に連れて行ってあげると約束をしていたとします。子供は日曜日が来るのを一日千秋の想いで待ち焦がれます。ところが直前になってお父さんに急な仕事が入り、ドタキャンとなりました。
勿論会社にとってとても大事な仕事で、いたしかたのなかったことです。お父さんとしてもとても辛いところです。
 
でも子供は当然の事ながら会社やお父さんの事情など理解できません。ただ悲しくて泣いてお父さんを責めるだけです。お友達にも言いふらしていたのに・・。。
こんなことが度重なると子供の心に「お父さんは信用できない。」という想いが刷り込まれてしまいます。成長して「お父さんは」が一般化されて「男性は」に変わり、「男性は信用できない。自分の気をひくために調子のいいことを言うけど結局は裏切る。」と心の奥底で考える人になってしまいます。勿論本人はそのことに気づいていません。
パートナーをつい試してみたくなる人や相手の言動につい不信感を抱いて問いただしがちの人は、子供の頃にこれに類した体験があるかもしれません。
このような人は当然の事ながら相手にウザがられます。
結果振られて、
 
「あんなに信じていたのに裏切られた。。
         もう男は信用できない・・。」
などと思ったりしますが、勿論失恋をした結果、男性不信になったのではありません。
元々、潜在意識では男性のことは信用しておらず、それを現実の世界で確認して、自分の認識をさらに強固なものにしているだけです。自ら関係を壊しているのですが、本人にはその自覚はありません。いずれまた同じことを繰り返します。
傍からみるとこの滑稽さはよく見えたりするのですが、勿論本人には分かりません。
他にも、親から冗談で、
「実はあなたは橋の下で拾ってきた子なのよ。」
とか、喧嘩の時に、
「あんたなんか生むんじゃなかったわ。」
などと言われた場合、子供の心は深く傷つきます。心の奥底に自己否定の気持ちが強く刷り込まれてしまいます。
​例を挙げると切りがないので、代わりに
「アメリカインディアンの教え」(加藤諦三著)から下記の言葉を引用して終わりにしましょう。
  • 批判ばかり受けて育った子は非難ばかりします

  • 敵意に満ちたなかで育った子は誰とでも戦います

  • ひやかしを受けて育った子ははにかみ屋になります

  • ねたみを受けて育った子はいつも悪いことをしているような気持ちになります

  • 心が寛大な人のなかで育った子はがまん強くなります

  • 励ましを受けて育った子は自信を持ちます

  • ほめられるなかで育った子はいつも感謝することを知ります

  • 公明正大ななかで育った子は正義心を持ちます

  • 思いやりのあるなかで育った子は信仰心を持ちます

  • 人に認めてもらえるなかで育った子は自分を大事にします

  • 仲間の愛のなかで育った子は世界に愛をみつけます

※ 幼少期に大過なく育ってきた人でも、過去生で強烈なトラウマとな
 る体験をした場合、それが深い心の傷となって今生に持ち越し、今生
 での言動に大きな影響を与えている場合があります。​必ずしも幼少期
 の体験だけが今の自分に影響を与えている訳ではありません。

催眠状態で潜在意識の中に大きな+を投入

既に述べた通り、潜在意識には強固な蓋がされており、普段我々はその中に存在するものを認識することは出来ません。
催眠状態(変性意識状態≒トランス状態)になるとその蓋の働きが弱まり顕在意識の比率が高まります。これにより普段は認識出来なかった、意識下の価値観が顕わになります。
その大部分は上記の例のように幼少期に形成されたものです。当然の事ながら子供は体験に乏しく知恵もありません。自分の周りで起こっている出来事は、全て自分が引き起こしていると思っています。
 
本来は親の側に非があることでも子供は”親の罪”を引き受けてしまいます。自分が悪かったと思ってしまい、不必要な罪悪感を抱え込んでしまいます。
年齢退行セッション中、クライアントは催眠下でその原因となった幼少期の体験をリアルに思い出しつつ、同時にそれらを催眠にかかっていない大人の冷静かつ公平な自分が見ています。子供の頃の自分の認識に誤りがあれば訂正することが出来ます。セラピストはその気づきのお手伝いをさせて頂きます。
催眠下では人間の脳は強力な感情を伴ったバーチャルな体験と実際の体験を区別することは出来ません。
子供の頃のネガティブな体験や不必要な罪悪感を打ち消すような、より大きなプラスイメージを作り、新たな神経回路を脳に作っていきましょう。潜在意識にプラス要素を刷り込んでいきましょう。

年齢退行が有効な理由

1.感情をしっかりと吐き出す
当時のつらかった体験を思い出し、その時の感情をしっかりと吐き出します。心の底に鬱積した感情を人に話すことによりスッキリとします。(カタルシス効果といいます。)
しっかりと涙を流してつらかったことを洗い流してしまいましょう。
​涙には心の浄化作用があります。
勿論セラピストは秘密厳守です。安心して心の内を話して頂いて大丈夫です。
2.   親を子供にして面倒をみてあげる
 ​
催眠中、イメージの世界で自分の親を子供にして、その少し年上になったあなたが面倒を見てあげます。一緒に遊んで悩みを聞いてあげます。そして慰めてあげます。
実は親も自分と同じようにそのまた親、自分の祖父母から同じような体験をしています。当然その祖父母もまたその親から同じような体験をしています。
このバーチャルな体験をすることで、自分の辛かった体験が決して自分だけの特別な体験ではないこと、世の中とはそういうものであること、また、潜在意識の中で絶対的、完璧な存在だった親が相対化され、親もまた自分と同じような心の傷を抱えており、過ちを犯す普通の人間であることが心の底から理解できます。
これにより、心の中に大きなプラスが入り、子供の頃に親から受けたネガティブ体験や言葉といった、自己否定の源になっていたマイナス要素が打ち消されていきます。
​自分を苦しめていた罪悪感から解放され、また、また親も赦すことができるようになります。
代々引き継がれてきた負の連鎖は、自分の代で断ち切りましょう。
でないとまた同じことを自分の子供に引き継いでしまいます。​
3.  インナーチャイルドを癒す
催眠下のイメージの世界で、小さかった頃の自分を目の前にイメージして大人の自分がその子の悩みを聞いてあげます。
感情をしっかりと受け止めて、
 
「辛かったね。よく耐えたね。あなたが悪かった訳ではないんだよ。よく頑張ったね。」
 
と慰めてあげましょう。
​そしてしっかりと抱きしめてあげましょう。
子供の自分が欲しがっているものをプレゼントして、一緒になって遊んであげましょう。
傷ついたインナーチャイルドは、逞しいワンダーチャイルドに変化していきます。
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